腱鞘炎になったらどうする?家庭でできる応急処置と治療の流れ

腱鞘炎になったらどうする?家庭でできる応急処置と治療の流れ

腱鞘炎(けんしょうえん)は、手首や指などの腱と腱鞘(けんしょう)に生じる炎症で、日常生活や仕事、スマホの使い過ぎなどで突然悪化することがあります。

適切な対応をすることで痛みを和らげ、早期回復を目指すことが可能です。腱鞘炎の原因・症状、応急処置、そして治療の流れについて詳しく解説します。

目次

腱鞘炎とは?その仕組みと症状を理解しよう

腱鞘炎は、主に手首や指の使い過ぎによって腱と、それを包む腱鞘に負担がかかり、炎症や痛みが生じる症状です。正しい知識を身につけることで、早期発見と適切なケアにつなげられます。

腱鞘炎の原因

  • 手や指を酷使する仕事や家事、趣味
  • スマートフォンやパソコンの長時間使用
  • ピアノやギターなどの楽器演奏
  • スポーツ活動(グリップやボールの握り方など)
  • 女性ホルモンのバランスの変化(妊娠・出産期や更年期)
  • 糖尿病(毛細血管の機能低下による組織のむくみ)
  • 筋力の低下(腱に負担がかかりやすくなる)

腱鞘炎の定義と仕組み

腱鞘とは、筋肉と骨をつなぐ腱を包む“トンネル”のような組織です。この腱と腱鞘がこすれ合い、何らかの原因で炎症を起こす状態が「腱鞘炎」です。

  • スマホやパソコン作業、楽器の演奏など、手指・手首の反復動作が主な原因
  • 手首の親指側に起こる「ドケルバン病」などが代表的な腱鞘炎

腱鞘炎の主な症状

腱鞘炎の症状には、以下のようなものがあります。

  1. 手首や指を動かしたときの痛み
  2. 腱や腱鞘周辺の腫れ、熱感
  3. 動かすときの違和感や引っかかる感触(ばね指)
  4. 痛みによる握力の低下、物をつかみにくい

腱鞘炎の程度(軽度、中度、重度)

腱鞘炎の進行度合いは大まかに以下のように分類されます。

– 軽度: 違和感や軽い痛みがあるが、日常生活に大きな支障は少ない

– 中度: 痛みと腫れが顕著で、動作制限や物を持つのが辛くなる

– 重度: 炎症が強く、激しい痛みで手首や指が思うように動かせない

症状が進行すると回復にも時間がかかるため、早期の対応が重要です。

腱鞘炎は放置するとどうなる?悪化のリスクを知ろう

腱鞘炎は放っておくと慢性化し、治療に長期間を要するケースが少なくありません。症状が出始めた段階で適切なケアをすることが大切です。

腱鞘炎を放置するリスク

  • 痛みの慢性化:炎症が長引き、持続的に痛みが生じる
  • 可動域の制限:指や手首を曲げ伸ばしする際に強い痛みが出て、動きが制限される
  • 関節への二次的影響:正常な動作ができず、ほかの関節や筋肉に負担をかける恐れがある

悪化した場合の具体例

ばね指:指の腱鞘炎の一種で、指が曲がったままロックし、元に戻すのが困難になる

ドケルバン病:親指側の手首が炎症を起こして痛みを伴い、物をつかむ動作が困難になる

筋力低下や神経圧迫:違う部位をかばう動きが続くことで、筋力が低下し、別のトラブルが生じる可能性が高まる

腱鞘炎の初期対応が回復に大きな影響を与える

腱鞘炎は軽度の段階で適切な処置をすることで、悪化を防ぎ、スムーズな回復が期待できます。この章では早期対応の重要性について解説します。

正しいケアが重要な理由

  • 炎症の抑制:早い段階で炎症を抑えれば、重症化しにくくなる
  • 回復の促進:適切な安静や負担軽減により、損傷部位が回復しやすい環境を作れる
  • 再発予防:正しいケアを習慣化することで、同じ部位への負担を軽減し、再発を防ぎやすくなる

腱鞘炎ケアでの注意点

  1. 安静にしすぎない:適度な休息は必要ですが、完全に動かさないと血行不良を起こす場合もあるため、専門家の指示に従いながらバランスを取る
  2. 無理なマッサージに注意:炎症が強い状態で無理にマッサージをすると悪化につながることがある
  3. 痛みが引かない場合は受診を:数日ケアしても痛みが治まらない場合は、整骨院や医療機関での診察が必要

腱鞘炎になったらどうする?家庭でできる応急処置

腱鞘炎の症状が出たら、まずは家庭でも行える簡単な処置からスタートしてみましょう。症状が軽減しなければ、早めに専門家に相談することをおすすめします。

基本は温熱処置

腱鞘炎の治療には、温熱療法が効果的です。温熱療法によって血行を促進し、傷ついた組織の修復を促進します。また、炎症を抑えることで症状を緩和させることができます。

  • お湯や蒸しタオル、カイロなどを用いて患部を10~15分ほど温める
  • 湯船や洗面器のお湯に浸かり温める
  • 就寝時は、布団に手を入れ冷やさない

腫れや強い痛みがある場合はRICE処置

腱鞘炎でも症状が強い場合は、炎症を抑えるために以下のRICE処置が応用できます。

  • Rest(安静):手首や指の使用をなるべく控え、過度な負荷を避ける
  • Ice(冷却):氷や保冷剤をタオルに包み、1回15~20分を目安に患部を冷やす
  • Compression(圧迫):サポーターやテーピングで軽く固定し、腫れを抑える
  • Elevation(挙上):長時間下げっぱなしにせず、適度に心臓より高い位置で休める

応急処置の注意点

  • 氷で冷やす時間は20分を超えないように注意しましょう
  • サポーターやテーピングで圧迫する場合は、血流を妨げない程度の強さを保つ
  • 痛みが強いときは無理をせず、できるだけ早めに専門家へ相談する

腱鞘炎が疑われたら整骨院で専門的なケアを受けよう

家庭での応急処置だけでは十分に改善しない場合や、痛みが長引く場合は、整骨院での専門的なケアを検討しましょう。
早期に適切な治療を受けることで、悪化や再発のリスクを大きく減らせます。

整骨院で受けられる治療とは

  • 徒手療法:炎症部位や周囲の筋肉を手技で整え、血行を促進して回復をサポート
  • 電気治療:弱い電流を流して炎症を抑えたり、痛みを緩和したりする
  • テーピングやサポーター指導:患部の安静を保ちながら、日常動作をサポートする方法を提案

整骨院を利用するメリット

  • 的確な診断とリハビリ計画:専門家が症状の原因を見極め、個々に合わせた治療プランを提示
  • 再発予防の指導:正しいストレッチや日常動作のアドバイスを受けることで、腱鞘炎の再発を予防
  • セルフケアの充実:自宅でも続けられる簡単なトレーニングやケア方法を学べる

まとめ

腱鞘炎は、手首や指を酷使する現代社会で多くの人が悩まされているケガの一つです。

痛みや違和感を感じたら、早めにRICE処置などの応急ケアを行い、改善が見られない場合は整骨院など専門機関で的確な治療を受けましょう。適切な処置と正しいセルフケアを続けることで、腱鞘炎の早期回復と再発予防が期待できます。

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この記事を書いた人

<資格>
・柔道整復師
・日本スポーツ協会公認 アスレティックトレーナー
<学・職歴>
・東京農業大学卒業
・大正製薬株式会社
・深谷整形外科
・田淵整形外科
・エル整骨院
<トレーナー歴>
・アメリカンフットボールXリーグ ラングラーズ

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